2008年1月20日 (日) 次は僕の番

夜中に兄ちゃんの原付を借りて、僕は大好きなあの子の家まで走った。

お金を貯め込んでようやく買ったMA-1を着込んでも20分も走りゃ体中に冬の寒さが突き刺さり、それでも僕はあの子の事が大好きだったから毎晩会いに行った。

昼間に学校で会っているのに変な話だ。西野亮廣16歳、高校1年の冬。

大好きなあの子の家の近くの公園で「寒い、寒い」て言いながら1時間くらい話した。

明日学校でやろうと思っている新ネタを見てもらったり、「高校を卒業したらNSCに入ろうと思う」と言ったのも、あの夜中の公園。

今思うと自分の話ばかりして・・僕はその時からその調子。

それでも僕の大好きなあの子は本当に優しくて、そんな僕の話をずっと聞いてくれた。

そしてあの子を家の前まで送って、夜中に連れ出した事があの子の父ちゃんにバレるとマズイから「じゃあ、また明日」と小さな声で言って別れ、僕は少し原付を押して、あの子の家から離れたところでエンジンをかけて、帰った。

帰り道はいつも寄り道をした。

あの子の家の近くに大きなレンタルビデオ屋があって、そこへ。

田舎だったのもあって、当時そこまで大きなレンタルビデオ屋は珍しかった。

僕の目当てはお笑いコーナー。

お笑いビデオが並べられてあるだけで、なんだかとてもワクワクした。

お金が無かったからそうそういつも借りられなかったけど、ビデオを手に取りパッケージを見て中身を想像するだけでも、僕はそれだけでも本当に楽しかったんだ。

いつだったか・・

僕は僕の大好きなあの子に、帰り道にいつもレンタルビデオ屋に寄っている事を言った。

目当てを聞かれたから、「Hビデオ」と誤魔化した。

それでも僕の大好きなあの子はいつだって全部お見通しで、何かの記念日にお笑いのビデオをプレゼントしてくれた。飛び上がるくらい嬉しかったよ。

家に帰ってさっそくビデオを観て、胸がドキドキして、僕は僕の大好きなあの子に感謝して、そしてそのビデオを世に出してくれた芸人さんに「ありがとう」と思ったんだ。

そのビデオの芸人さんに比べて今の僕なんかはまだまだ足りないけど、きっと当時の僕とあの子のような奴らが今の日本のどこかにいて・・次は僕がそいつらの胸を躍らせなきゃいけないと思うんだ。

次は僕の番。

『日の出アパートの青春』がDVDになります。

2008年1月

Posted by nsnkouron