2008年7月 8日 (火) 転がる石のよう


 

今日は朝から『ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック』の男性メンバーとトンボとボクとで集まって、須藤さんのスタジオにお邪魔して今度の舞台で使う曲のレコーディング。収録曲は梶原と内間の二人で唄う『GO!GO!マカロニ怪盗団』(後藤ひろひとバージョンは明後日の大阪で収録)と、全員で唄う『俺は酒呑みスットコドイ』の2曲。曲はまぁ見事にカッチョ良く仕上がっており、あとは唄を入れるだけの状態。須藤さん指揮の下、レコーディングがスタート。スリムクラブの真栄田が地獄的に音痴だったけど、それでも一生懸命な姿に皆で笑った。

少しづつ少しづつモノが出来上がっていく其れは文化祭のよう。皆で協力して思い出を作っていく、アルバムのページを埋めていく、学生時代と何も変わっちゃいない。オッサンが集まってギャーギャー言ってるよ。

正直に言ってしまえば、今回の舞台の話をふられた時、ボクは顔をしかめた。どう考えたってムチャクチャな部分があったし、その段階で企画が詰めきれてなさすぎだったし・・その旨はチーフマネージャーに伝えた。それでもやっぱり「乗り切ろう」という話で決着がついて、「それならば・・」と、自分で脚本・演出をすることにして、「楽しもう」と思った。結果を言っちゃえば、それで良かったと思えている。問題を挙げていけば限がないけど、だけどコレはコレで一つの「モノを作る」というチャンスだったんだ。事実、今現在、皆でレコーディングして、皆で笑っている。あの時に話をシャットアウトしていれば、こんな経験もできなかったわけだ。きっとボクも皆も寂しがり屋で、肩を組んだ瞬間に安心して嬉しくなれる。モノ作りには「作品を残せる」というのとは別にそれがあって・・だからボクはモノ作りにハマっているのだと思う。肩を組んで嬉しい気持ちになりたい、まさに文化祭の準備だよ。

昼前にはレコーディングが無事終了して、皆それぞれの仕事に向かった。須藤さんらは録った唄を何度も聴いて何やら作業をしていた。そしてボクは転がっていたギターを手にして、スタジオの扉を閉めて大声で唄った。声が漏れていたのか、マイクが入っていたのか、須藤さんがスタジオに入ってきて「いいね、その曲。録ろう!」と言い出した。別に今回の舞台とはまったく関係のない曲だった。ボクは恥ずかしかったけど、お世話になっているし、一生懸命唄った。プロを前にして、あいかわらずのガラガラ声で嫌になった。トンボが「もう一曲、いい唄があるんですよぉ、須藤さん。グヘへェ~」と告げ口をしやがったので、もう一曲唄うハメになった。その曲も録った。死ぬほど恥ずかしかった。そして「音楽やろうよ」と須藤さん。そのまま須藤さんの事務所に連れられた。聴かせたい曲があるのだとか。須藤さんが奥の方から古いレコードを持ち出して唄が流れた。

ボブ・ディラン。

名前は聞いたことあったけど、いかんせん青春時代に音楽を通ってきていない私。その音楽はまったい聴いたことがなかった。もちろん歌詞は英語だから何を唄っいてるかわからなかったけど、キュンとした。ボクはずっと聴いていたかった。「次はこういう音楽をやりたいんだよ。やろうよ!」と須藤さん。

・・・ん?俺!?

ボクはギターのコードも4つくらいしか押せないし、音痴だし、声がガラガラ。「関係ないよ」と須藤さん。とりあえず須藤さんがボクに聴かせたい音楽を今度まとめて送る、とのこと。この辺りが幻冬舎の舘野さんに非常に似ている。一度このオッチャン二人を会わせたい、きっと仲良しになって話が止まらなくなるはずだ。想像しただけで微笑ましい。

まさかの結末で本日のレコーディングが終了した。この先ボクはどこへ流れて、どうなるのか・・わからないけど、モノを作りながら人と出会って一喜一憂する人生はとても健康的だ。今回の舞台の話にしたってそう。怪我する事ばかり考えてシャットアウトするのではなく、その時にまわりがその流れになっていたのならば、とりあえずその流れに乗ってみようと。そこには何かがあってボクを成長させてくれる。考えてもみれば、皆自分が可愛い中、ボクを使って何かを起こそうとしてくれる、ボクを使う為に汗を流してくれる、キチンと熱を持ってくれる。これは自分が発起人になった場合ではなかなか起こりにくい。今まで何度も何度も人のケツを叩いてきたもん。そう考えると、流れに身をまかせるのも悪くない。いろんなことを経験しよう。そして吸収しよう。そんでもって一番大事なのは、ちゃんとしっかりとした柱を立てるということ。そこさえしっかりしていれば、おかしな方向に曲がったりしない。ボクの場合のその柱はやっぱり漫才。そこは太く、強く。ボクは間違わないよ。

自分より先輩には言えないけど、もしこの文章をボクより年下が読んでいるのなら言えることは、理屈をゴネて止めてしまうより、一度乗っかってみた方がいいよ。ボク達はまだ理屈をゴネて止める歳じゃない。まだまだ正解なんて知らない歳なんだもの。乗っかった先に何もないかもしれないけど、あったらラッキーだぜ。

ボクは今日、ボブ・ディランを聴いた。

2008年7月

Posted by nsnkouron