2008年7月15日 (火) GO!GO!大久保公園特設テント


 

先日、神保町花月1周年を記念して短編映画版の『日の出アパートの青春』の上映がありました。映像の方でもちゃんと笑い声が起こっていて、ひたすら嬉しくなったボク。会場を出る時に「ドアノブのくだり最高でした」とお客さんに声をかけられる。約一年前に神保町花月で上映されて、WOWOWでも放送された映画版『日の出アパートの青春』にあって、DVDになった舞台版『日の出アパートの青春』には入れていないのが、このドアノブのくだり。

簡単に言ってしまえばお隣さんの玄関と自分のとこの玄関のドアノブがひっかかって、ドアが上手く開かない。それが元となりスットコドッコイな展開になっていく仕掛け。

ありがたいことに、この仕掛けを面白がってくれる声が多い。よく言われるのが「よくあのセット作りましたねぇ」というお言葉。それはちょいと違うんだ。

以前もここで書きましたが、あれはセットでも何でもないのです。『100本映画』という、100人の監督が撮る100本の作品というコンセプトの下、吉本が立ち上げた企画の中で、ボクより前に監督をされた方が撮影費用をたくさん使っちゃって、とにかくお金がない。「なんとかして、西野」というところから『日の出アパートの青春』は始まったのです。お金がないから各地を転々とするロケはできない。撮影日数が延びるとそれだけお金もかかるので、短い期間で撮りきらないといけない。「どんな舞台なら用意できるのですか?」と問う私、「アパートくらいなら・・・」という返事。なるほど・・アパートかぁ・・・・・さぁ、どんすんべ??そんなところからのスタートだったわけです。そしてアパートもアパートで、一部屋ずつ取り上げていくと、またそれはそれで部屋の中の調度品やら何やらの美術品が発生してくるので、最後には「アパートの廊下の話」という、とても狭いくくりになっちゃったわけです。そして、なんとなく脚本を進めながら、撮影で使用するアパート(実際に存在するが、今はもう誰も住んではいない)に視察に行きましたところ、ドアを開けたり閉めたりバタバタしていましたら、ドアノブがひっかかるのに気づき、「きっと当時ここに住まれていた方は何度かこの事でイライラしただろうなぁ~」てなことを漠然と思って、「ドアノブがひっかかるお話にしよう」と、お話の入り口はまさかそんなところからだったのです。

「ドアノブがひっかかる」「アパートの廊下だけ」「少ない日数で撮りきれる」・・こういったいくつかの条件を与えられて・・いや、勝手に与えた部分もありますが、その中でそれをクリアする脚本を書こうと思ったのです。だけど、こういった条件があった方がかえってお話は作りやすかったりもします。明確なアウトがそこにはあるから。「崖に家建てて」と言われた方が、「崖に建つ家」というコンセプトが明確にありますから、「家建てて」と言われるよりかは、幾分ある程度のカタチが見えてきます。なのでボクがお話を作る時はいつも条件をつけます。次にやる予定の『グッド・コマーシャル!』では「出演者3人」という条件で書きました。別に誰かに「3人でのお話を書いてくれ」と頼まれたわけではございませんが、『日の出アパートの青春』と『ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック』で大勢の勘違い劇を書いたので、少ない人数で前の2本とは違った笑わせ方で勝負したいと思ったのです。

・・・長くなってしまいました。そんで今回の『ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック』です。本当にいきなり吉本から言われたお話でして、その時ちょうど『グッド・コマーシャル!』の脚本を考えていた時でしたから、とりあえずは「出演者3人」の芝居のフリにもなるよう、「大勢の勘違い劇を、その前にもう一発やってやろう」と思ったワケです。そしてそれは『日の出アパートの青春』との色分けもしないといけませんから、アパートといった「日常」ではなく、「非日常」のものにしてやろうと。さらにその少し前から気になっていた遠藤かおるという男でお話を作りたいと。さらに遠藤かおるがギターを弾けるということを聞き、「遠藤かおるがギターを弾くお話」にしようと。・・・とまぁ他にもたくさんの条件を突きつけて書き出した脚本。

その脚本を3、4日で書き上げられて自分でも驚く。きっと「難題だ」と思っていて、それをクリアしてやろうという気持ちでテンションが上がっていたからだと思う。こんなに早く本が書けたのは初めて。有頂天のボクに「早く書けた本はそれだけで素晴らしいものですから、じっくり直しに時間をかけた方がいいですよ」という三谷幸喜さんのアドバイスでようやく冷静さを取り戻すボク。何度も読み返してみると、粗がたくさん。何度も何度も直して、結局は完成までにそこそこ時間がかかった。本当にありがたいお言葉。そして後藤ひろひとさん。このオッチャンに主題歌を唄ってもらうというボクのバカな想い。「脚本が面白かったら唄ってね」という条件で、とにかく後藤さんが納得のいくお話を、と。そして出来上がった『GO!GO!マカロニ怪盗団』という楽曲、その途中で出会った音楽プロデューサー須藤晃さん。今回の一件で本当に動き回ってくれて、素晴らしい音楽を作ってくれて、ボクのお願いに100%で応えてくれた。「舞台観に行きますね」という言葉をもらって、身が引き締まる思い。須藤晃さん、三谷幸喜さん、後藤ひろひとさん・・・とにかく、「この3人にガッカリされてたまるか」という思いになった今回の舞台。本当にたくさんの方の協力があったのです。ありがたい、ありがたい。

TVをつければ「この舞台で伝えたかったことは・・・」てなことを舞台演出家が喋っていた。「つまりは結局、伝わってないじゃないか」といのがボクの意見。伝えたいことなんて何もないですよ。「芸術」と言い切って逃げるのは気持ちが悪い。感動させる為に簡単に人を殺して安っぽい涙を得るのも気持ちが悪い。『ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック』の判断の仕方はいたって簡単。笑い声が起こらなければ駄作。これだけ。

『ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック』が今日から始まります。面白いですよ。

2008年7月

Posted by nsnkouron